副業の話をしていて「確定申告していない人も多い」と聞くと、自分も申告しなくてよいのか迷うかもしれません。しかし、周囲で申告していない人が何人いるかは、自分の申告要否を決める根拠にはなりません。そもそも申告が不要な人と、必要なのに申告していない人は、分けて考える必要があります。
給与の受け取り方、給与以外の所得、対象年などで確認する条件が変わり、税務調査対象の不備の割合も国民全体の無申告率を表すものではありません。数字の読み方、給与所得者の確認点、申告不要と還付申告の違い、申告を忘れたと気づいたときの行動を整理します。「みんながしていないから」ではなく、自分の資料と国税庁の案内を照らし合わせ、必要なら税務署や税理士へ相談できる状態を目指しましょう。所得税と住民税の確認先も混同しないことが大切です。
確定申告してない人が多いかは数字の母集団に注意
「申告していない」という言葉だけでは、問題のある無申告かどうかは分かりません。給与の年末調整で所得税の手続きが完了し、確定申告をする必要がない人もいます。一方で、本来は申告が必要な所得があるのに手続きをしていない場合もあります。
国税庁の「給与所得者で確定申告が必要な人」は、大部分の給与所得者は年末調整により所得税額が確定し、原則として確定申告を必要としないことを説明しています。「確定申告書を出していない人」をすべて、義務に違反している人として数えることはできません。
また、税務調査を受けた人のうち不備が見つかった割合が示されていても、その数字の対象は調査された人です。全国の人から無作為に同じ条件で数えた結果とは限りません。申告漏れと、申告そのものをしていない無申告も同じ意味ではないため、見出しの割合だけを広げて読まないようにしましょう。
この記事では、全国の無申告者が何割いるという数字を提示しません。統計を読むときは、対象者、集計年度、無申告と申告漏れの定義を確認してください。割合の大きさが、自分に申告義務があるかを変えるわけではありません。
自分に確定申告が必要かを確認する
最初に、申告を考えている年と、収入の種類を整理します。給与、業務の報酬、商品の販売などでは、確認する所得区分が違います。同じ「副業」という呼び方でも、給与として受け取ったのか、別の所得となる報酬なのかを分ける必要があります。
給与所得者でも条件によって申告が必要
国税庁の前述の案内では、給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合など、給与所得者でも申告が必要な条件を挙げています。給与を一か所から受け、そのすべてが源泉徴収の対象となる場合は、給与・退職所得を除く所得の合計が20万円を超えるかも確認項目です。給与が複数の勤務先からある場合には、別の条件があります。
これは主な確認点であり、該当条件の一覧すべてを記事だけで置き換えるものではありません。同族会社の役員などに関する条件もあるため、自分の働き方に合う項目を公式ページで確かめましょう。
20万円は誰にでも使える基準ではない
給与所得者向けの条件を、個人事業をしている人などへ一律に当てはめることはできません。また、「所得」と、売上や入金の総額も区別します。必要経費を差し引いて計算する所得もありますが、何でも経費として扱えるわけではないため、支出の内容と記録が必要です。
国税庁の副収入に関する説明にも、所得の種類や、生活に使っていた家財の売却などについての注意があります。「フリマの入金だから全部同じ」「会社員だから必ず不要」と、呼び名だけで決めないようにしてください。
| 確認すること | 用意する情報 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 対象年 | その年の源泉徴収票や収入記録 | 別の年の税制や金額をそのまま使う |
| 給与の状況 | 勤務先の数、年末調整、給与の金額 | 一か所と複数の給与を同じ条件で読む |
| 給与以外の所得 | 取引内容、収入、必要経費の記録 | 売上と所得を同じ金額と考える |
| 申告する目的 | 納税が必要か、還付を求めるか | 申告不要なら申告しても意味がないと考える |
所得税の確定申告が不要となる場合でも、住民税の申告については別途確認が必要です。所得税の案内だけで住民税も一律不要と判断せず、住んでいる自治体の税務窓口へ状況を伝えて確認しましょう。
確定申告が不要な場合と還付申告を分ける
申告書を提出する義務がないことと、申告によって納め過ぎの所得税が戻る可能性があることは、別の話です。国税庁の還付申告の案内では、源泉徴収などで納めた税額が年間の所得に対して計算した税額より多い場合、申告により還付を受けられると説明しています。
例えば、一定の控除を受けるために申告を検討することがあります。ただし、控除が使えるか、実際に還付されるかは個別の条件次第です。税金をあらかじめ納めていなければ、申告をするだけで必ずお金が戻るわけではありません。
還付のために申告する場合も、都合のよい部分だけを記載してよいわけではありません。申告に含める所得の範囲を確認してください。国税庁の還付申告に関するQAでは、この20万円以下の規定によって申告不要となる給与所得者でも、還付申告を行う場合は、その20万円以下の給与・退職所得以外の所得も併せて申告する必要があると説明しています。少額の副収入などがある場合は、還付申告をする予定と合わせて税務署等へ伝えると、確認すべき内容を整理できます。
還付申告と期限後の納税申告では、手続きの目的や期限の考え方が異なります。未確認の年数を一律に当てはめず、対象年と適用したい制度を公式案内で確かめましょう。
申告していなかったと気づいたら行うこと
必要な申告を忘れていた可能性があるなら、「周りもしていないから」と放置せず、対象年と資料を整理します。国税庁の「確定申告を忘れたとき」は、期限内に申告を忘れたと把握した場合、できるだけ早く申告するよう案内しています。期限後申告として扱われ、内容によって追加の税負担が生じる場合があります。
- 申告が必要だった可能性のある年を分ける
- 各年の源泉徴収票、入金記録、経費に関する資料を集める
- すでに提出した申告書や税務署からの通知があれば確認する
- 不明点をまとめ、税務署や税理士へ相談する
- 案内に沿って申告と納付の手続きを進める
無申告加算税や延滞税などの扱いは、申告・納付の時期や状況などで異なります。「自主的に出せば必ず負担がない」「何年たてば問題がなくなる」と決めつけないでください。記事の一般例だけで税額や対象年数を確定せず、手元の事情を具体的に伝えます。
資料が一部見つからない場合も、全部そろうまで何も相談しないと考える必要はありません。どの年の、どんな取引の記録がないのかをメモして伝えれば、確認すべき資料について相談できます。数字を記憶だけで埋めたり、架空の経費を足したりしないようにしましょう。
未申告に関するよくある疑問
会社員なら全員、確定申告は不要ですか?
給与の額や受け取り方、給与以外の所得などで変わります。年末調整を受けていても申告が必要な条件があるため、勤務先に任せているという理由だけで判断しないでください。
赤字なら確認しなくてよいですか?
収入と必要経費の計算、所得の区分、他の所得などを確認する必要があります。帳簿上の赤字という言葉だけで、すべての申告や手続きが不要とは決まりません。
何年分の資料を準備すればよいですか?
気になっている年を整理し、手元にある資料と一緒に相談してください。申告の状況や適用する制度で確認内容が異なるため、全国一律の年数を目安に資料を捨てることは避けましょう。
周囲の噂より対象年の条件を確認する
確定申告していない人の多さと、自分の申告要否は切り分けて考えます。対象年、収入と所得の種類、給与の状況、申告する目的を整理し、公式の条件を照合しましょう。申告漏れに気づいた場合は、資料を持って早めに相談することが次の一歩です。


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