「ママの顔が小さくなって、どんどん遠くに行っちゃう!」
「部屋がぐにゃぐにゃして、自分が巨人になったみたいで怖いよ……」
夜、寝る前のお子さんが突然こんなことを言い出したら、親としてどれほど動揺することでしょう。まず、結論からお伝えします。その症状は「不思議の国のアリス症候群」という名前があり、決して精神の病気ではありません。
これって精神病?「不思議の国のアリス症候群」の正体とチェックリスト
お子さんが「実際にはないもの」が見えている(幻覚)のではなく、「目の前にあるもののサイズや距離が違って見える」のであれば、それは精神疾患ではなく、知覚の歪みです。
- 小視症(ミクロプシア): 物や人が実際より小さく見える。
- 大視症(マクロプシア): 物や人が実際より大きく見える。
- 遠視症(テレオプシア): 物が実際より遠くにあるように感じる。
- 変視症: 直線が曲がって見えたり、顔が歪んで見えたりする。
- 時間感覚の歪み: 周囲の動きが早送りのように見えたり、逆にスローモーションに感じたりする。
- 身体感覚の異常: 自分の手足が伸びたり、頭が巨大化したように感じる。
なぜ起こる?子供は「ウイルス」、大人は「片頭痛」が引き金に
なぜ、健康な子供の脳にそんなバグが起きるのでしょうか。実は、明確な「引き金」が存在することが多いのです。
1. 子供に多い原因:EBウイルス感染
子供の場合、原因の約50%以上が「EBウイルス」というありふれたウイルスへの感染です。風邪のような症状や熱が出た後、あるいは熱が出る直前に、脳の視覚を司る部分に微細な炎症が起きることで発症します。
2. 大人に多い原因:片頭痛
成人の場合は、片頭痛の前兆として現れることが圧倒的に多いです。脳の血管が拡張したり、電気活動が波のように伝わったりする際、視覚野を刺激することでアリスのような体験をします。
【保存版】子供が症状を訴えたとき、親がすべき「安心させる3ステップ」
ステップ1:否定せず、全力で共感する
「そんなわけないでしょ」という言葉は禁句です。「そうなんだね、ママの顔が遠くに見えてびっくりしたね。でも大丈夫、ママはここにいるよ」と、手を握ってあげてください。
ステップ2:視覚刺激を減らし、安心させる
部屋を少し暗くし、静かな環境で横にならせてあげてください。視覚情報を減らすことで、脳の混乱が落ち着きやすくなります。
ステップ3:症状をスマホでメモする
いつ、どんな状況で、何分間続いたかをメモしてください。これは後の診察で非常に重要な手がかりになります。
なぜなら、正体不明の恐怖が一番子供を追い詰めるからです。名前があることを教えるだけで、子供の表情は劇的に和らぎます。この「安心感」こそが、どんな薬よりも脳の興奮を鎮めてくれるのです。
何科に行けばいい?受診のタイミングと医師に伝えるべきこと
基本的には、「まずは小児科」で大丈夫です。
| 診療科 | 役割 | こんな時に選ぶ |
|---|---|---|
| 小児科 | 全身状態の確認・一次診断 | 子供が初めて症状を訴えた時。 |
| 眼科 | 目の器質的な異常の除外 | 目の痛みなどがある時。 |
| 脳神経外科 | 脳の器質的疾患の除外 | 強い頭痛や痺れを伴う時。 |
「不思議な国」から必ず帰ってこれます
焦らず、お子さんを抱きしめてあげてください。その安心感が、一番の特効薬です。
- 日本神経学会:不思議の国のアリス症候群について
- Lanska JR, Lanska DJ. Alice in Wonderland Syndrome. Neurology. 2013

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