トラクターの代掻きは、入出口と旋回場所を先に決め、圃場条件に合う順番を組みます。初めて任されると、どこから入り、どの筋へ折り返せば、最後に出口を仕上げられるのか迷うこともあるでしょう。長方形で旋回余地がある場合には、枕地を残して中央を1行程おきに往復し、残りと周囲を仕上げる考え方があります。
ただし、旋回に必要な広さは機体や作業機、土の状態で異なります。図の順番をすべての田に当てはめたり、畦際で無理に小回りしたりすることは避け、使う機械の説明書と現場の条件を照らし合わせる必要があります。
事前の確認表、1行程おきに進む自作概念図、未作業筋と出口の仕上げ、計画を変える場面を整理します。図をまねる前に自分の圃場の条件を書き出せば、どこを残し、何を指導窓口へ相談するかを具体的にできます。
代掻きの回り方は入出口と旋回余地から決める
代掻きと耕うんの目的を分ける
代掻きは、水を入れた田で土を砕き、田面をならす作業です。クボタの代掻き工程の説明も、入水後の砕土と均平を説明しています。乾いた田畑を耕すときのルートや設定を、無条件で同じものとして使うことはできません。
回り方を考える際も、走った距離を短くするだけでなく、未作業の場所、旋回で乱れた場所、退出する位置を意識します。田を仕上げる順番と、安全に機体を動かせる条件を一緒に確認することが大切です。
図を使う前に確認する圃場と機械の条件
現場では、圃場の形と入出口、足場、障害物、作業幅を確認します。機体だけが回れても、後ろの作業機を含めた余地があるとは限りません。確認できていない点がある場合は、図を実行する前に整理してください。
| 確認項目 | 現場で確かめること | 計画を見直す要因 |
|---|---|---|
| 入出口 | 位置、進入と退出の足場 | 段差、不安定な路肩 |
| 形状 | 長方形か、狭い部分があるか | 変形、障害物 |
| 旋回場所 | 本体と作業機に必要な余地 | 畦や障害物との干渉 |
| 土・足場 | 軟弱な箇所、凹凸 | 沈み込みや大きな高低差 |
| 機械 | 作業幅と対象型式の説明書 | 昇降や旋回条件の不明点 |
| 水と残渣 | 水持ち、わら、漏水 | 一律の設定が合わない状態 |
長方形の圃場で考える代掻きの基本例を図解
次は、長方形で十分な旋回余地がある場合の考え方です。鳥取県掲載の2019年稲作技術情報の印刷9ページにある、周囲に旋回場所を残し、中央を1行程おきに往復してから残りを作業する文章説明を基に、独自の概念図にしています。資料の図版の転載や再現ではありません。
周囲に旋回する場所を残す
先に、中央の作業筋と旋回するための枕地を分けます。枕地は圃場の端などで旋回に使う場所です。資料には周囲2行程分を残す例がありますが、固定のメートル数へ読み替えず、実機と作業機が安全に動けるかを確認します。
準備:長方形・十分な旋回余地がある例
| 畦の内側:上の枕地 旋回する場所 |
||
| 左 の 枕 地 |
中央の作業筋を計画 | 右 の 枕 地 |
| 下の枕地:旋回する場所 | ||
| 入出口(位置は例) | ||
茶色の外枠=畦
淡い黄土色=枕地
中央を1行程おきに往復する
中央の隣り合う筋へすぐに折り返すのではなく、間を空けて往復する考え方を示します。下図の番号は、筋を区別する説明用の番号です。実際の操作順や旋回方向を指定するものではありません。
中央:間を空けて作業する段階
| 上の枕地 余裕のある旋回場所を確保 |
||||||
| 左 の 枕 地 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 右 の 枕 地 |
| ↑ 作 業 |
・ 未 作 業 |
↓ 作 業 |
・ 未 作 業 |
↑ 作 業 |
||
| 下の枕地 旋回経路は現場で確認 |
||||||
| 入出口 | ||||||
青=先に作業する筋
黄・「・」=この段階の未作業筋
↑↓=進行方向の説明例
茶色の外枠=畦
間の未作業筋を処理し周囲と出口を仕上げる
間に残した筋をその後に処理し、周囲と入出口の仕上げを計画します。中央の筋を終えただけで圃場全体が完成したと考えず、残した場所を確認してください。
補完:残した場所を確認する段階
| 1 済 |
2 残り筋 |
3 済 |
4 残り筋 |
5 済 |
| 中央:残り筋を処理 未作業箇所を確認 |
||||
| 周囲:枕地の仕上げ領域を確認 | ||||
| 出口:退出経路と 最後に仕上げる領域を確認 |
||||
緑・「済」=先の段階で作業した筋
黄=残り筋
上から下は確認内容の整理で、走行方向ではありません。
3図は完全な作業手順ではありません。作業機を上げる操作、旋回方向、折り返す経路は対象型式の取扱説明書と現場条件で確認します。
1行程おきに回る理由と仕上げの確認
枕地の土の移動を抑える考え方
鳥取県掲載の技術情報は、間を空ける理由として枕地の土の移動を減らすことを説明しています。隣の筋へ無理に小さく折り返すための図として読むのではなく、旋回場所の使い方を含む考え方として理解しましょう。
未作業筋とタイヤ跡を確認する
作業を進めると、先に通った筋と残した筋が分かりにくくなることがあります。計画上の筋と現場を照らし、間の未作業箇所や旋回の跡を確認します。見落とした場所を追うために畦ぎりぎりへ寄せたり、急な操作を行ったりしないでください。
出口からの退出計画を残す
最後にどこを通って退出するかも、初めに考える項目です。出口の位置と足場を確認し、仕上げる領域と移動する領域を整理します。図に出口を描いておくと、中央の作業だけに目が向いて退出計画を忘れることを防ぎやすくなります。
狭い・変形・軟弱な圃場は同じ図を当てはめない
旋回余地が足りないとき
図のように中央を間引いて往復できても、枕地で安全に回れるとは限りません。狭い田や変形した田では、そのまま実行せず順序を見直します。必要な旋回余地が分からない場合は、機体と作業機の型式、圃場の形を添えて販売店や地域の指導窓口へ相談してください。
凹凸や軟らかい場所があるとき
大きな凹凸や軟弱な箇所がある場合は、通常の周回だけで整うと考えないようにします。専用の均平や土引きに関する説明を、対応していない一般のハローへそのまま適用することも避けてください。作業機の対応と現場の足場を確認する必要があります。
水とわら・漏水などを観察して相談
鳥取県掲載資料の環境対策に関する説明では、漏水、わらの浮上、濁水排出などへの留意も示されています。水面の割合や作業速度を一律の数値で決めず、土や残渣、水持ちを観察して地域の指導と照合してください。
代掻きの回り方でよくある疑問
外周から始める方法もある?
外周から進める方法もあり、中央から入る考え方が唯一の正解ではありません。対象の圃場と作業機に合うかで検討し、本記事の図を全圃場共通の順序として使わないでください。
枕地は何m残せばよい?
機体、作業機、作業幅、足場などによります。資料の行程数を固定の幅へ置き換えず、対象機で必要な余地を説明書や販売店で確認します。
水はどの程度入れればよい?
土質や水持ち、わら、使用する機械によって条件が変わります。全国共通の水面割合を当てはめず、現場の状態と地域の指導、対象機の説明を確認してください。
入出口・旋回場所・未作業筋を確認してから作業計画へ
入出口と足場を確認し、旋回する場所を残して中央の筋を計画する。残りの筋、周囲、出口をどう仕上げるかまで考える。図は、その関係を整理するために使います。現場が図の条件と違う場合は、説明書と地域の指導に照らして順序を見直しましょう。
参考資料:鳥取県掲載・2019年稲作技術情報、クボタ・代掻き工程。情報確認日:2026年10月24日。


コメント