三角比は、角度を基準にした辺の長さの比です。sin・cos・tanの公式を覚えても、問題の図でどの辺を割ればよいか迷うことがあります。直角三角形の鋭角θについては、sinは対辺÷斜辺、cosは隣辺÷斜辺、tanは対辺÷隣辺。最初にθと直角を確認すれば、図の向きが変わっても同じ基準で式を選べます。
同じ角を持つ直角三角形は相似なので、大きさが変わっても対応する辺の比は同じです。三角比が角度と結び付くのはこのためです。ただし、辺を上下や左右の位置だけで覚えると、図を回転したときに取り違えます。また、直角三角形を使った説明の対象は鋭角であり、90度以上は定義の拡張が必要です。
ここでは比の意味、三つの辺の見つけ方、定義と代表的な角の値を順番に整理し、最後に自作例題で式を立てます。公式を眺めるだけでなく、分かっている辺と求めたい辺を照合する手順を身に付け、初めて見る向きの図でも計算を始められるようにしましょう。
三角比は角度に対応する辺の長さの比
三角形の大きさが変わっても比は同じ
三角比が表すのは辺そのものの長さではなく、二つの辺を割って得られる比です。鈴鹿工業高等専門学校の教材でも、直角三角形の辺の比としてsin・cos・tanが定義されています。角度の単位や長さの単位と混同せず、割り算の結果と考えましょう。
自作の例として、三辺が3・4・5の直角三角形を2倍すると、6・8・10になります。長さは変わりますが、対応する短い辺と斜辺の比は3÷5=6÷10=3/5です。同じ形の三角形なら、大きさを変えても比は保たれます。したがって、角度から辺の比を知り、その比を使って未知の長さを求められます。
最初は直角三角形の鋭角で考える
最初は直角を一つ持つ三角形を描き、直角以外の一つの角をθと置きます。θは角度を示す記号で「シータ」と読みます。三角比の名前の後ろにあるθは、どの角に注目しているかを指定しています。三辺の数値だけを見る前に、θがどの頂点に書かれているかを確認してください。
斜辺・対辺・隣辺はどこか
直角を探して斜辺を決める
斜辺は直角の向かいの辺です。図で斜めに見えるかどうかは判断基準ではありません。紙を回転させて斜辺が水平になっても、直角の向かいという関係は変わらないからです。まず直角の印を探し、その頂点に接していない辺を斜辺として書き込みましょう。
θを基準に残りの二辺を決める
対辺はθの向かい側の辺、隣辺はθに接する辺のうち斜辺以外の辺です。θに接する辺は二つあるため、「接しているから隣辺」とだけ覚えると斜辺を選んでしまいます。先に斜辺を決めれば、残った二辺の区別が簡単になります。
| 名称 | 見つけ方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 斜辺 | 直角の向かい | 見た目の傾きで決めない |
| 対辺 | θの向かい | 注目する角を確かめる |
| 隣辺 | θに接する斜辺以外の辺 | 斜辺を除いて選ぶ |
同じ三角形でも、もう一方の鋭角に注目すると対辺と隣辺は入れ替わります。斜辺は変わりません。「対辺3」と数値だけで暗記せず、「今のθから見て対辺3」と関係で考えることが、式の取り違えを防ぎます。
sin・cos・tanの定義と使い分け
sinとcosは分母が斜辺
定義は次の三つです。教育機関の教材にある三角比の定義と対応させて、分子と分母の順番を確認しましょう。sinはサイン、cosはコサイン、tanはタンジェントと読みます。
| 三角比 | 定義 | 使う二辺 |
|---|---|---|
| sinθ | 対辺÷斜辺 | 対辺と斜辺 |
| cosθ | 隣辺÷斜辺 | 隣辺と斜辺 |
| tanθ | 対辺÷隣辺 | 対辺と隣辺 |
例えば対辺3、隣辺4、斜辺5なら、sinθ=3/5、cosθ=4/5です。同じ三角形でも、sinとcosでは分子が違います。逆数の5/3や5/4にしないよう、式を言葉で一度書いてから数値を入れると確認できます。
tanは対辺と隣辺の比
同じ例ではtanθ=3/4です。tanの分母は斜辺ではありません。既知の長さが対辺と隣辺なら、斜辺を先に求めなくてもtanを使って式を立てられます。問題を見てすぐ三つ全部を計算する必要はなく、必要な二辺を含む定義を一つ選びましょう。
30度・45度・60度の値を確かめる
直角二等辺三角形から45度を求める
45度を考えるには、直角を挟む二辺がともに1の直角二等辺三角形を使います。三平方の定理から斜辺は√2なので、辺の比は1:1:√2です。対辺と隣辺が等しいため、sin45°とcos45°はともに1/√2=√2/2、tan45°は1になります。
正三角形の半分から30度と60度を求める
一辺2の正三角形を、頂点から向かいの辺の中点へ引いた線で二等分します。斜辺2、短い辺1となり、残る辺は√(2²−1²)=√3です。30度から見る対辺は1、60度から見る対辺は√3となるので、同じ三角形から二つの角の値を整理できます。以下はこの比を定義へ代入した結果です。
| 角度 | sin | cos | tan |
|---|---|---|---|
| 30° | 1/2 | √3/2 | √3/3 |
| 45° | √2/2 | √2/2 | 1 |
| 60° | √3/2 | 1/2 | √3 |
値が思い出せなくなったら、表の配置だけでなく、1:1:√2または1:√3:2の三角形に戻って計算しましょう。特に30度と60度では、対辺と隣辺が入れ替わるためsinとcosの値も入れ替わります。
例題で三角比の式を選ぶ
分かる辺と求める辺を書き出す
自作例題1です。斜辺が10、θ=30°の直角三角形で、θの対辺をxとします。使いたい二辺は対辺と斜辺なので、選ぶ定義はsinです。長さを代入するとsin30°=x/10。1/2=x/10の両辺を10倍し、x=5が得られます。
同じ条件で隣辺をyとすれば、隣辺と斜辺を含むcosを選びます。cos30°=y/10より、√3/2=y/10、y=5√3です。検算すると5²+(5√3)²=25+75=100=10²となり、三辺は三平方の定理とも一致します。
式を立ててから数値を代入する
自作例題2は、θ=45°、隣辺6、対辺xです。斜辺の長さは与えられていませんが、対辺と隣辺を使うtanが選べます。tan45°=x/6、1=x/6よりx=6です。45度の直角三角形で二つの直角を挟む辺が等しいこととも一致します。
解く順番は「角と辺の名称を確定する」「分かる辺と求める辺を選ぶ」「対応する定義を立てる」「数値を代入する」です。計算が止まったときは、公式を増やす前に、問題文の角度と自分が付けた対辺・隣辺が一致しているかを見直しましょう。
直角三角形での説明の範囲と注意
tan90度を計算しない
ここまでの説明は0°より大きく90°より小さい角が対象です。90度以上の角は、座標や円を使って定義を広げて学びます。その際にもtan90°は定義されません。tanθ=sinθ/cosθという関係では、90度で分母のcos90°が0となり、0で割る計算ができないためです。
図の向きではなく角度を見る
最初の練習では、同じ図を横向きに描き直しても、三角比の値が変わらないか確かめると理解の確認になります。直角から斜辺を決め、θから対辺と隣辺を決め直してください。向きが変わっても角と辺の関係を説明できれば、公式を使う準備ができています。


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